先天性難聴(聴覚障害者)でも障害者年金を受給できる

聴覚障害者の障害者年金受給
目次

障害年金の受給について

基本は年金保険料を納めていなければならない

障害年金とは公的年金のひとつで、障害によって生活に支障が出てしまった場合に支払われる年金のことです。障害の度合いにより等級が設けられており、受け取れる金額が異なりますが、基本的に障害になったときまでに保険料を納めていなければもらえません

障害年金の申請条件

申請には以下の条件をすべて満たす必要があります。

年金の加入者である

初めて診断された日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入している方

保険料を納付している

初診日の月の2ヶ月前までの加入期間のうち、全体の3分の2以上の保険料を納付している方

一定の障害状態にある

「障害等級表」で定められた1級・2級にあたる障害がある方

先天性難聴でも障害者年金を受給できる

先天性難聴者は年金に加入できていない

生まれつき難聴(先天性難聴)の場合、保険料を納め始める20歳より前から障害状態になってしまっているため、国民年金にも厚生年金にも加入できていませんし、もちろん年金保険料は納めていません。このことから上の記事にあるように一般的な申請条件を満たさないことになります。

年金に加入していなくても障害年金を受給できる

先天性難聴である場合には、年金に加入して保険料を納めていなくても、身体障害等級が1級もしくは2級であれば障害年金を受給することができます

このことを障害年金の世界では「20歳前障害」と呼んでいます。障害年金の存在を知らなかったり、「この病気は小さい頃からずっとだから…」と、はじめから自分または家族は対象外だと思い込んでいる方が多くいますが、一定以上の障害であれば年金をもらうことができますので、まずは障害の程度が基準を満たしているか確認してみましょう。

20歳前障害で年金を受け取る場合の注意事項

「20歳前障害」による障害年金受給には注意すべきことがあります。

基礎年金の対象となる

20歳前障害は「障害基礎年金」適用となること(※就職して厚生年金に加入していても、20歳前になった障害による請求には「基礎年金」が適用になります)
障害基礎年金なので1級または2級の状態であること。3級の状態では支給されないのでこちらも注意が必要です。

障害等級障害基礎年金(年間額)
1級977,125円
+ 扶養するこども分の加算あり
2級781,700円
 + 扶養するこども分の加算あり
3級
障害等級にもとづく2020年度の年金支給額

所得制限が適用される

20歳前障害での障害基礎年金の受給と普通に国民年金に加入していた状態でもらえる障害基礎年金の受給とには所得制限が適用されるという違いがあります。20歳前障害を負っていて障害基礎年金の対象となっていても、前年の所得額が4,621,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,604,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。

日本年金機構ホームページより
障害等級1級の受給者の所得による支給制限
前年の本人所得額支給内容支給額(年額)
4,621,000円を超える全額停止
3,604,001円~4,621,000円2分の1の年金額停止488,063円
3,604,000円以下全額支給976,125円
障害等級2級の受給者の所得による支給制限
前年の本人所得額支給内容支給額(年額)
4,621,000円を超える全額停止
3,604,001円~4,621,000円2分の1の年金額停止390,450円
3,604,000円以下全額支給780,900円

扶養親族がいる場合、一般扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算されます。また、対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円が加算され、特定扶養親族であるときは1人につき63万円が加算されます。

20歳前の傷病による障害基礎年金の支給対象期間の変更

20歳前の傷病による障害基礎年金は、毎年、受給者本人の前年所得の確認が必要となり、前年所得に基づく支給対象期間は『8月分から翌年7月分まで』とされています。年金制度の改正により、2021年度から『10月分から翌年9月分まで』に変更されています。※この改正により、2020年度の支給対象期間(全額支給停止の場合は支給停止期間)は、『2020年8月分から2021年9月分まで(14カ月分)』となります。

先天性難聴の障害認定日は満20歳になった日

通常、障害年金は初診日から1年6ヶ月が経過した「障害認定日」から請求することができますが、生まれつきや子どもにときに初診日があるときは満20歳になった日が「障害認定日」となります。満20歳になった日の時点で1級や2級に該当しそうであれば、1年以内に請求手続きを開始しましょう。

  • 1年を経過した後は遡及請求となります
  • 認定日から5年以上経過してしまうと5年より遡って請求することはできません。早めに請求することが重要です

日本年金機構からの案内

障害年金ガイド(令和3年度版)障害基礎年金・障害厚生年金の仕組み

障害基礎年金の請求手続きのご案内

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